森の人に会いに行く
先日、ネットで興味深いニュースを見た。
休園中の動物園で、動物たちが退屈しているというもの。特にオランウータンやチンパンジーなど、類人猿では影響が大きいとか。
それを見て、再読しようとある本を引っ張り出してきた。黒鳥英俊著「オランウータンのジプシー」。
多摩動物公園にいた雌のオランウータンについて書かれた本だ。
数年前、多摩動物公園の夜間公開に出かけた。昼間と違う動物たちの姿が見られるので、なかなか面白い。
オランウータン舎にも入ってみたが、オランウータンは全然いない。もう寝ちゃったのかな?とあきらめようとした時に、係の人が「あそこにいますよ」と教えてくれた。
振り返ると二階からオランウータンが、我々を面白そうに見下ろしている。
観察されていたのは、我々人間の方だった!
これをきっかけにオランウータンに興味を持ち、買ったのがこの本。
今度は昼間に動物園へ行って、ジプシーとご対面。
ガラス越しに会ったジプシーは私の持ち物に興味津々。バッグの中から、ブラシや化粧品などいろいろ取り出し、使って見せる。もっと見せろ!とばかりに、ガラスを叩くジプシー。言葉はなくても、なんとなく会話が通じたようで、嬉しくなる。
その後も何冊かオランウータンの本を読むうち、すっかり彼らに惹きこまれ、動物園では飽き足らず、ボルネオ島まで出かけて行った。オランウータン=森の人という名の通り、濃い緑の森の中で会ったオランウータンは、やっぱり興味深げにこちらを見ていた。
そんなことを思い出しつつ、再読するうち、また彼らに会いたくなった。
残念ながらジプシーはもういない。数年前に死んでしまった。でも、ジプシーの家族は健在だ。
動物園が再開して、落ち着いたら、会いに行こう。たくさんの道具を持って。