ロマンチックな仕事
ぶらっと、本屋に出かけた。
個人的に、本屋は自分を確認するバロメーターのひとつ。
一回りして、まったく興味を惹く本に会わなかったら、よっぽど疲れている証拠。
さっさと帰って、温かいものを飲んで、布団に包まった方がいい。
この時は、かなりいい出会いがあった。宇田智子著「市場のことば、本の声」。
那覇の市場通りで、古本屋を営んでいる店主の方が書かれた本だ。
表紙や帯に書かれている言葉、ひとつひとつが魅力的で速攻買った。
表紙の言葉に惹かれたのには、わけがある。
実態を知らずに勝手にロマンを感じる仕事がふたつあり、そのひとつが古本屋なのだ。
そして、以前那覇に行ったとき、偶然このお店に行き当たった。
那覇の市場の周りを歩き回っていた時に、貸店舗という札をいくつか見かけた。
「ここでお店を開くなら、何がいいかな、古本屋とか。カフェスペースもあるといいな」と空想しながら歩くうち、本当に古本屋に行き当たり、「おっ!」と足を止めた。
そのご店主が書いた本に、近所の本屋で偶然出会った。
こういう出会いは、妙に嬉しい。
ほくほくしながら帰って、ソファでとぐろを巻き、ページをめくる。
那覇の空気をくっきりと思い出す。
読み終わるのが惜しくって、ゆっくり読もうと思ったが、ついつい一気に読んでしまった。
ちなみに。もうひとつ勝手にロマンを感じる仕事は灯台守。
(そもそも、今も灯台守という仕事はあるのだろうか…?)
この本に、灯台守の物語を読むエピソードが出てきた。
それを読んで、またまた「おっ!」と思った。
こういう偶然も妙に嬉しい。