瞳をひらいて

ここしばらく眼科へ通っている。左眼が炎症を起こしているためだ。10年ほど前に初めて炎症を起こし、その後時折再発している。今回は症状がひどく、通院が長引いている。

 

治療のために目薬が3種類も処方されたのだが、そのうちのひとつには瞳孔を開くという作用がある。要は黒目が大きくなるのだ。

黒目が大きくなった分、光を取り込むので、人によっては視界がまぶしくなったり、ぼやけたりする。そのため、車などの運転は禁止。

 

私の場合、例えば昼間だと光の粒が舞っているように見えたり、日が暮れる頃だと、信号や街灯がにじんで見えたりする。車の運転はしないけれと、確かに危ないだろうなと思う。

でも、実のところ、光の粒が舞ったり、街灯がぼやけたり、普段と違う風景が見えるのは少々楽しい。特に夕暮れ時、灯りがにじんで見えるのは幻想的だ。

 

岡本太郎やダリの写真を見ると、瞳孔が開いているようにも思える。

もしかしたら、彼らの目にも幻想的な光景が映っていたのかも、それがああした作品の制作につながったのだろうか…と想像する。

もちろん、実際のところは分からないけれど。

 

凡人の私は、彼らのような瞳を持っていない。

そろそろ左眼が完治して欲しいけれど、あの光景が見られなくなるのは、少しだけ残念な気もする。

 

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